社労士試験の労働時間・休憩・休日。3交代勤務で覚えた基本ルール。

【労働基準法シリーズ 第4回】

前回は年次有給休暇を取り上げました。

今回は、労働時間・休憩・休日の基本ルールです。割増賃金(第2回)や有給(第3回)の土台になる、いちばん根っこの部分にあたります。

私は食品工場で3交代勤務をしていました。勤務時間がシフトできっちり決まっている職場で、1回の勤務は8時間、休憩は1時間という形が固定されていました。労働時間・休憩・休日のルールを、勉強で条文として覚えるより前に、毎日の働き方として体で経験していたわけです。今回はその経験も交えながら、試験で問われる基本ルールを整理していきます。

1.法定労働時間は「1日8時間・週40時間」

労働基準法の原則は、1日8時間、1週40時間です。これを「法定労働時間」と呼びます。

このシリーズで何度も出てきた数字なので、もう見慣れた方も多いと思います。割増賃金も、変形労働時間制も、すべてこの「8時間・40時間」を基準に組み立てられています。逆に言えば、ここさえ押さえておけば、他の論点が枝葉のようにつながって見えてきます。

私のいた職場は3交代制でした。例えば朝・昼・夜の3つの勤務帯を交代で回す形です。1回の勤務はおおむね8時間で組まれていて、シフトを足し合わせると週40時間に収まるように設計されていました。今振り返ると、あのシフト表そのものが「法定労働時間の枠の中で人を回すための仕組み」だったんだな、と勉強してから腑に落ちた記憶があります。

2.休憩のルール――「なぜ45分と1時間があるのか」

試験で意外と引っかかるのが休憩です。条文ではこう定められています。

労働時間与える休憩
6時間以下与えなくてもよい
6時間を超える少なくとも45分
8時間を超える少なくとも1時間

ここで勉強中に迷ったのが、「8時間ちょうど」のケースでした。8時間ちょうどなら「8時間を超える」には当たらないので、休憩は45分で足ります。1時間が必要になるのは、8時間を「1分でも超えたとき」です。

しかも正直に告白すると、この「8時間を超えるか、以下か」という論点は、まさに私が本番の試験で出題されて、理解できないまま間違えた箇所でした。普段の仕事では1時間の休憩が当たり前だったので、かえって「45分で足りる場合がある」という発想が頭から抜け落ちていたのかもしれません。日常で慣れていることほど、条文のラインを正確に詰めておかないと足をすくわれる――そう痛感した問題でした。

ただ実際の職場では、少し残業すればすぐ8時間を超えてしまうので、最初から1時間の休憩を設定しているところが多いと感じます。私の職場も、1回の勤務に1時間の休憩が組まれていました。「45分でいいはずなのに、なぜ1時間なんだろう」と当時は思っていましたが、勉強してから「超えたときに備えて最初から1時間にしているのか」と納得しました。

休憩の3つの原則

休憩には、覚えておきたい3つの原則があります。

  • 途中付与の原則:休憩は労働時間の「途中」に与えなければならない。勤務の最後にまとめて与えて早く帰す、という扱いは認められません。
  • 一斉付与の原則:原則として事業場で一斉に与える。ただし労使協定を結べば交代で取らせることもでき、運輸・販売・医療など一部の業種は例外とされています。
  • 自由利用の原則:休憩時間は労働者が自由に利用できる。

3交代勤務だった私の職場は、まさに「一斉付与の例外」が機能していた現場でした。全員が同時に手を止めたらラインが止まってしまうので、交代で休憩に入る形です。勉強で「一斉付与の原則」と「その例外」を読んだとき、「ああ、うちのあの休憩の回し方は、この例外のことだったのか」と現場の記憶とつながったのを覚えています。

3.休日は「週1日」が原則――祝日は法律上の休みではない

休日の原則は、毎週少なくとも1回です。「週休2日」が法律で義務づけられていると思っている方が意外と多いのですが、労基法が求めているのは週1日です。例外として、4週間を通じて4日以上の休日を与える方法(変形週休制)も認められています。

ここで、私の職場の話をします。私のいた食品工場は、週2日は休みがありました。その点では法律の最低基準(週1日)は超えていたことになります。一方で、祝日は休みではなく、土日も出勤がありました。世間が連休で賑わっている日も、工場は動いていたわけです。

当時の私は、それを「おかしい」とは思っていませんでした。むしろ「他の会社もこんなものなのかもしれない」と思っていたし、率直に言えば「こんな会社に入ってしまったのが間違いだった」という後悔のほうが記憶に残っています。そんな中で、「公務員は祝日が必ず休みになるから恵まれているな」と漠然とうらやましく感じていたのを覚えています。

社労士の勉強をして、その感覚に理屈がつきました。国民の祝日は、労基法上の休日ではありません。法律が求めているのは「週に1回の休み」だけで、それが日曜である必要も、祝日が休みである必要もない。祝日を休みにするかどうかは、会社が就業規則で決める話です。公務員が祝日に休めるのは、別の法律で祝日が休日と定められているからで、民間は会社次第――だから私が感じた「恵まれている」という印象は、的外れではなかったわけです。

知識がついて初めて、「自分の職場は週2日の休みという点では最低基準を上回っていたが、祝日については法律が要求していない分、与えていなかっただけなのだ」と整理できました。法律の最低基準を知ることは、自分の置かれた環境を測るものさしになる――このシリーズで繰り返し感じてきたことを、休日の分野でも実感しました。

なお「法定休日」と「所定休日(週2日のうちのもう1日)」の区別は、休日労働の割増賃金(35%か25%か)に直結します。ここは第2回の割増賃金の回で整理しているので、あわせて読んでいただくとつながりが見えてきます。

「代休」と「振替休日」を、誰も区別していなかった

私の職場では、来週のシフトを一般社員が組んでいて、管理職はそれをほとんど見ていませんでした。だから急な出勤も、上から正式に依頼されるというより、現場の中で半ば当たり前のように回っていました。

そんな環境だったので、正直に告白すると、当時の私は「代休」と「振替休日」の違いを考えたこともありませんでした。休日に出て別の日に休めば呼び方なんてどっちでも同じだろう、くらいの感覚です。でも社労士の勉強でこの2つが明確に違うと知って、少し驚きました。

  • 振替休日:あらかじめ「この休日を出勤日にして、代わりにこの日を休みにします」と事前に入れ替えておく方法。事前に振り替えていれば、もとの休日に働いても「休日労働」にはならないので、休日割増(35%)は発生しません。
  • 代休:休日に先に出勤してしまった後で、埋め合わせとして別の日に休ませる方法。休日に働いた事実は消えないので、休日割増の対象になります。

ポイントは「事前か、事後か」です。ただし振替の場合でも、振り替えた結果その週の労働時間が40時間を超えれば、時間外割増(25%)が問題になることがあります。

私の職場のように、シフトが現場任せで急な出勤が常態化していると、その出勤が「事前の振替」だったのか「事後の代休」だったのかを意識する人すらいません。でも、この区別ひとつで割増賃金の扱いが変わってくるわけです。知らないというのは、振り返ると少し怖いことだったなと感じます。

4.8時間を超えて働かせるための「36協定」

ここまでが原則ですが、現実には残業も休日出勤もあります。私の職場も、普段はシフトで時間が決まっていたので法定労働時間を超える残業はほとんどありませんでしたが、機械トラブルやライン停止などが起きると、その対応で勤務時間を超えて職場に残ることはままありました。シフト勤務だからといって残業がまったくないわけではなく、こうした時間外労働を成り立たせていたのが、これから説明する36協定だったわけです。

法定労働時間を超えて働かせたり、法定休日に働かせたりするには、労使協定(いわゆる36協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。労基法第36条に基づくので「36(さぶろく)協定」と呼ばれます。

この36協定を勉強していて、自分の職場のことで引っかかった点がありました。私のいた工場には、労働組合がありませんでした。

36協定は「労使協定」、つまり会社と労働者側の合意です。では組合がない職場では、誰が労働者側として協定を結ぶのか。ここで出てくるのが過半数代表者という考え方です。

労使協定は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があればその組合と、なければ労働者の過半数を代表する者と結ぶことになっています。組合がない私の職場でも残業や休日出勤はあったわけですから、どこかで過半数代表者を選んで協定を結んでいたはずなのですが、当時の私はその存在をまったく知りませんでした。

社労士の勉強をして「組合がなくても、過半数代表者と結べば労使協定は成立する」と知ったとき、「あのとき会社は、誰を代表者にして36協定を出していたんだろう」と振り返った記憶があります。組合のない職場で働いている方ほど、この論点は自分ごととして読めるかもしれません。

そして、この36協定があってはじめて、会社は法定労働時間を超える労働をさせることができ、その対価として支払われるのが第2回で扱った割増賃金です。「時間の枠を決めるのが労働時間のルール、その枠を超えるための手続きが36協定、超えた分の対価が割増賃金」――この3つはセットで理解しておくと、頭の中で散らからずに済むと私は感じました。

なお、36協定で延長できる時間にも上限のルールがあり、近年の法改正で整備が進んだ部分です。ここは論点が大きいので、別の回で改めて取り上げたいと思います。

まとめ

労働時間・休憩・休日は、労働基準法のいちばん土台になる部分です。

  • 法定労働時間は「1日8時間・週40時間」
  • 休憩は「6時間超で45分、8時間超で1時間」、3原則(途中付与・一斉付与・自由利用)も押さえる
  • 休日は「週1回」が原則、例外として「4週4日」もある
  • 国民の祝日は労基法上の休日ではなく、休みにするかは会社次第
  • 振替休日と代休は「事前か事後か」で割増の扱いが変わる
  • 法定労働時間を超えて働かせるには36協定が必要(組合がなければ過半数代表者と締結)

数字や原則は丸暗記が必要な部分もありますが、「自分の職場のあの働き方は、このルールのどこに当たるんだろう」と結びつけて考えると、記憶に残りやすい――というのは、このシリーズで何度もお伝えしてきたとおりです。私自身、3交代勤務という不規則な働き方をしていたからこそ、この分野は実感を持って覚えられた気がしています。

次回は労働基準法シリーズの第5回として、36協定と時間外労働の上限規制を取り上げる予定です。

※本記事は筆者個人の体験談です。試験制度や法律は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。

【一次情報の確認先】

  • e-Gov法令検索「労働基準法」第32条(労働時間)・第34条(休憩)・第35条(休日)・第36条(時間外及び休日の労働)
  • 厚生労働省「労働時間・休日に関する主な制度」
  • 厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について」

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